
*ハイデルベルク大学動物標本博物館
(出典:Universität Heidelberg, Institut für Zoologie, Zoologisches Museum)
8月中旬、ハイデルベルク大学付属の動物標本博物館で剥製のサイから2本の角が盗まれました。
サイの角の盗難というのはハイデルベルクだけではなく、ドイツ、ヨーロッパ各地で起こっています。
ドイツではバンベルクの自然博物館、ハンブルク大学の動物標本博物館、地方都市ヴルフの狩猟博物館などで、またヨーロッパ
でもこの18か月間にポルトガル、英国、チェコ、ベルギー、フランス、スウェーデンなど各地の博物館からサイの角の盗難被害
が続いています。
この原因は、サイの角が漢方薬で脳血管障害の後遺症に効き、解毒作用があり、また精力剤と信じられ、
珍重されていることにあります。これは科学的には証明されていません。
サイの角自体は、髪の毛や爪と同様にケラチンで構成され、再生されますが、サイはワシントン条約で絶滅危惧類に指定されて
おり、合法的には手に入りません。そのためアジアのブラックマーケットでは、1キロ当たり400万円以上で取引されているそ
うです。金や大麻に匹敵する価格です。過去にアフリカやアジアでは多数の密猟が行われましたが、自然界からの調達に限界が
きたことで、博物館から調達するという手段に及んだようです。
ハイデルベルクの動物標本博物館のコレクションは1819年に創設され、1979年以来大学キャンパスの一角で、無料で公開され
ています。
希少な動物の剥製も所有している博物館ですが、過去に盗難など起こったことはなく、管理者は数日たってから盗難に気が付い
たというぐらいです。そして、コレクションの中で一番高価なものが何であったかわかったということでした。
日本の博物館もお気を付けください。

*フランクフルト動物園のクロサイ
(出典:ウィキメディア・コモンズ、撮影:Frank C. Müller)
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